2010年12月27日月曜日

相棒劇場版Ⅱレビュー※ネタバレ注意!

相棒-劇場版Ⅱ-観てきました。
ツイッターに気軽に上げて(っていうか上げきれない…)、
不特定多数の人にネタバレさせてしまうのも本意ではない。
でも、語らずにはいられない!ということで、
ブログで語らせてもらいたいと思いますw。

監督:和泉聖治
脚本:輿水泰弘・戸田山雅司

あらすじ…
前代未聞の篭城事件が発生。現場は警視庁十一階の会議室。定例会議に出席していた警視庁幹部十二名が人質となった。犯人の要求は不明。機動隊とSITが強行突入を試みた瞬間、室内に一発の銃声が轟く。この顛末にいち早く懸念を示した警視庁特命係の杉下右京は、神戸尊とともに事件の真相を追う。だが人質となった幹部たちの証言はどれも曖昧で、篭城犯射殺は正当防衛として処理されようとしていた。やがて、右京と尊は、犯人の意外な過去と七年前のある事件を突き止めるのだが—。

劇場版Ⅱは…
劇場版Ⅰはドラマとは比較的離れた時系列にあった話で、テレビとは複雑に絡み合うような事はありませんでした。だから、あくまで相棒という世界の中の話の1つとしての存在でした。ところが、劇場版Ⅱの場合はむしろ今後の相棒に大きな影響が出てくるであろう内容で、劇場版Ⅱが一つのキーになると思われます。逆に言うと、間口の広くとった劇場版Ⅰは映画で相棒を初めて見て、そこからファンになっていった人もいるだろうし(実際、自分がそう)、シーズンを重ねるごとに視聴率が上がってるのもそれを物語っています。しかし、劇場版Ⅱは間口が狭いとまでは言わないものの、初めての相棒が劇場版Ⅱでは恐らく全域まで楽しめないと思いましたね。それくらいディープでした。

個人的に一番好きなのは…
右京さんのロープ降下のシーン。八重樫がろう城する会議室を外から私物のデジカメで撮影!終始、冷静沈着な右京さんではあるものの、周りは驚愕!あれはまさに”奇策”でしょう。ちなみに右京さんはLUMIXをご愛用していました。

すばらしい音楽と映像美…
劇場版ⅡはCGも随所に使われていて、実に美しい映像で楽しませてくれます。撮影方法もフィルムを使わないデジタル方式の撮影だそうで、劇場版Ⅰとは風合いの違うものになっています。音楽も映画を見る前にサントラを入手したのですがwww、どれも重厚感があって、相棒の世界を演出しています。ちなみにエンディングは今回も「終わりの始まり」でした。

脚本はとても重い…
見終わって単純に感動したなぁ〜とか、ハッピーエンドだな〜とか、万事解決だな〜とすんなり終わってくれない所はやっぱり相棒らしいです。むしろそういう意味では今までの話の中でも一番相棒のカラーが色濃く表現されていると思います。見終わって何が正義なのか、人によってたどり着く結論が違うんだろうなぁと思いましたね。「あなたの正義を問う。」その意味が分かります。社会的なテーマや、実際にニュースになった事をテーマに掲げている事が多かった相棒ですが、今回の話のテーマは純オリジナル。ただし、本当にそういう事があったかのような錯覚を覚えるほどのリアリティがあります。最近の相棒は風刺ものが多かったものですから、浅倉禄郎や閣下のような純然たる相棒オリジナルの世界観が見れたのがよかったですね。
警視庁幹部は警察庁サイドに押さえつけられるという形で終わってしまうのか?相棒が進化するという意味は?ラストは明らかにこのままで終わりそうにないんですよね、その結末を見届けることができる日は訪れるのか?非常に気になるラストでした。
映画を観てすぐにその足でノベライズ本を買って読んだのですが、本の方が細かいところまで描かれていて、自分のペースで話を飲み込む事が出来るのでよりしっかりとストーリーを楽しめると思いました。映画という色んな制約があるなか、あの脚本を表現しきるには2時間強という時間は短かったのでは?と感じるのが正直な所で、なんならSPみたいに2部作にするとか、タイタニック張りの時間でやるとか、でもいいんじゃないか?と思えるほどの内容でした。

そして、最後に迎える衝撃の結末…
まぁこの人はいつかはこういう目にあうだろうなぁと思っていました。実際、Season1でそういう目にあったわけだし。Season9の相関図に名前が乗っていなかった上、あの予告を見れば、容易に予測は出来るんですが、やっぱり見てしまうともう…悲しいです。官房長の死はノベライズ本でも描かれていない部分です。少し穿った見方をすれば、官房長のキャラクターですっかり俳優として相棒のみならず、さまざまな場面で欠かせない存在となった岸部一徳。気づいてみれば黒幕的な役を色んな番組で演じられるようになって、そこに距離を置くという意味合いもあったのかなぁ。なんて思ってみたり。こういうレギュラーメンバーの卒業の仕方は24やERでもよく見てきたけど、やっぱり最初はスゴく寂しいんですよね。もう官房長を見れないのかと思うと…(涙)。でもこういう幕引きが得てして一番印象深くて、いつまでも強い存在でいてくれたりするものなんですよね。映画のラストは小野田公顕官房室長の葬儀で終えるのですが、そこでも右京さんはやっぱり右京さんでした。

僕は…
今まで相棒の話1つ1つで相棒の登場人物や世界観が作られてきたと思うんです。だから、回を追うごとに深みが増して、魅力の1つにつながっていたと思うんですね。10年という歳月をかけて広く深く熟成された相棒という世界。そこには揺るぎないものと常に変化があって、だからこそ、振り返って過去の回を見た時にそこにしかない良さがある。今回の劇場版Ⅱで改めてそれを実感させられました。そして、劇場版Ⅱも長い相棒の歴史の中で振り返った時もまたそう思えるんだろうなと。そんな気がします。

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